米朝首脳会談の開催によって相場がどのような影響を受けたのか?
北朝鮮の非核化をどの程度進められるか?が争点でした。
しかし結局、会談が途中で中止となってしまい、
何も合意されないまま終了するという結果になりました。
この結果に対して、相場はどのように判断したのでしょうか?
これを読み取るためには、
チャートを分析することが最重要であり、最も効果的な方法なんです。
大きくて重要なニュースやイベントが起きた後に
相場に参加している人が考えていることを知るポイントを3つ紹介します。
- 大きな陽線や大きな陰線が出てきたか?
- 大陽線や大陰線が出た後に同じ方向にトレンドが継続するか?
- 値動き(ATR)が大きくなったか?
今回の米朝首脳会談の結果に対しても
この3つのポイントに着目して、チャートを分析してみましょう。
イベント発生後の値動きがトレンドにつながるのか?を調べる手法
まず、今回の2回目の米朝首脳会談では、
会談の前は、具体的にどのような成果が期待できるのか全く不明でした。
最終的に妥協点を見つけ出し、合意できる所だけ合意することもありませんでした。
この結果に対して、2018年6月12日に開催された
第1回目の米朝首脳会談の内容を振り返ってみましょう。
本来は、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の
合意ができるのか?が注目されていました。
しかし、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」には
全く触れられることなく、朝鮮半島の完全な非核化に合意しただけでした。
これは、ほとんど何も決まらなかったといっていいほど
成果がなかったという事実を示しています。
このことから、2回目の米朝首脳会談も
ほとんど何も決まらないのではないか?ということを
チャート上に織り込み済みだったと考えることができます。
注)織り込み済みだったというのは、過去のことを振り返って分かることであり、
米朝首脳会談の前に分かっていたわけではありません。(予想はできるけれど。)
これらのことに注目して、実際にチャートを見てみましょう。
チャート上の四角で囲んだ所が米朝首脳会談が行われた期間です。
これを見ると日経225とドル円のチャートはともに、
米朝首脳会談の後半から終わりごろにかけて価格が下がっている
という特徴が見られます。
しかし、米朝首脳会談の翌日からは再び上昇して、
2019年3月1日(金)の取引終了時点で、
安定した上昇トレンドが形成されています。
一時的に減少したけれど、下降が継続せず、
すぐに上昇し出したという事実は、
発生した不安材料が相場に対して
それほど大きな影響を与えなかったということです。
また、会談の最後の時間帯に減少したときに、
ある程度、大きな陰線が数本あります。
大きな陰線が現れるということは、
大きな不安材料が出てきたことを表すサインの1つですが、
そのサインがダマシでないことを確かめることも重要です。
- イベント時にできた大陽線や大陰線と同じ方向にトレンドが発生する。
- 移動平均線やMACDなど複数のインジケーターのサインも現れる。
- イベント後にできたトレンドの押し目や戻しが小さい(トレンドの50%以下)
今回の米朝首脳会談の場合では、
- 大陽線や大陰線と同じ方向にトレンドが発生しなかった。
- 移動平均線・MACD・ストキャスティクスにトレンド発生のサインが出ない。
- 戻しが大きく(50%以上)、上昇トレンドのサインがインジケーターに現れる。
となっており、大陽線や大陰線がダマシだった時の特徴が満載です。
このことから、米朝首脳会談で成果が全くなかったという
一見、良くないニュースが相場の世界では、
悪いニュースとして判断されなかったということが分かります。
これらの状況を総合的に判断して、
会談の前に「米朝首脳会談で成果がないこと」を
チャートの中に織り込み済みだったのではないか?
と会談が終わった後に推測することができます。
米朝首脳会談の後、相場がどのように変化したのか?
ドル円の1時間足チャートを見てください。
米朝首脳会談の前は、ローソク足が非常に小さく、値動きが小さいです。
これは、移動平均線やMACD・ストキャスティクスからも判断することができます。
日経225の1時間足チャートも顕著ではありませんが、
利益を取りにくい、レンジ相場の傾向がありました。
しかし、会談の翌日から、大きな上昇トレンドが発生して、
今現在も上昇トレンドが継続しています。
米朝首脳会談が何らかの影響を与えて、
相場が動き出したと考えることができます。
まだ判断するには根拠が足りませんが、
米朝首脳会談が相場に与えた最も大きな影響は
この上昇トレンドなのかもしれません。